【ふゆか】「ああ、うそ……やだ……ゾクゾクしちゃうぅ……♪」
 うっとりした顔つきになってふゆかは言った。
【ふゆか】「それで……ああ、先を聞かせて……」
【拓海】「…………その男性は、怨みと共に、毎晩切ないオナニーに励んでいました。
そんな彼の怨念はやがて怨霊となり、あなたに襲いかかってきたのです」
【ふゆか】「んんんっ……!? んはああっ……怨念が……怨霊に……」
【拓海】「身体が疼いて、寝られない夜はありませんか?」
【ふゆか】「はぁはぁ……あ、あるわ。私だって……生身の身体を持つ女ですもの……」
 興奮した顔つきで、色っぽく小首をかしげて言う。
 その声は熱っぽさを帯び、わずかに震えていた。
【拓海】「そう思いたくなる気持ちは分かりますが、実はそれが怨霊の祟りなんです」
【ふゆか】「ええっ……!? まさか……?」
【拓海】「身体が疼いて寝られない夜……何をしていますか? 
自分の指で……いけない指遊びに耽ったりしませんか?」
【ふゆか】「はぁはぁはぁ……ああ、するわ……だって……オナニーしないと、
仕事にも身が入らなくなっちゃって…………」
 さらに興奮が増したような気配を滲ませて、ふゆかは切なげに告白する。
【拓海】「それですよ、スランプの原因は」
 俺はズバリ指摘した。
【ふゆか】「……ええっ!?」
【拓海】「オナニーをするたびに、あなたは小説家としての自分の才能を浪費しているんです。
怨霊の祟りが、そう仕組んでしまったんです」
【ふゆか】「な、何ですって……怨霊が……!? はぁはぁ……はぁはぁはぁ……」
【拓海】「そうです。オナニーのエネルギーの中に、あなたが神様から与えられた、
本来創作に使うべき才能がじわわと吸い取られ………………」
【拓海】「エクスタシーとともに無駄に消費されてしまっているんです」
【拓海】「つまり、オナニーすればするほど、才能が目に見えて目減りしていく……
しかしオナニーはやめられない」
【拓海】「なぜなら怨霊の淫気で、あなたは自分が思っている以上に、
身体を淫らに蝕まれてしまっているからです」
【ふゆか】「ああ、やだ……はぁはぁ……ああ、怖い……怖くなって来ちゃった……」
 ふゆかは真剣な表情で目を潤ませ、さらに息を荒げた。
【拓海】「だから僕のお祓いで、身体を蝕んだ霊を取り除かなくてはならないのです」