【乃璃子】「こ、こんな……ところで……？　あの……どうして……？」 それは君みたいな超高級な女と、こういうエロエロで下品なＳＭルームの取り合わせが、 最高にいやらしいと思ったからさ。 ……なんてこと、口が裂けても言えるはずがない。 【拓海】「言ったろう。ここが君にとっては絶好のパワースポットになる。 非日常的な空間でのお祓いの方が、効果があるんだ」 口から出任せで俺は解説した。 【乃璃子】「え？　非日常的……？」 【拓海】「うん。旅行も同じだと思うけど、いつもと違う環境に身を置くと、感覚が研ぎ澄まされて、 見るもの聞くものが新鮮になったりするよね」 【乃璃子】「え、ええ……」 【拓海】「そして、何とも開放的な気分になる。要はあれと同じ原理かな。 君の知らない、君の世界とはまったく異質の空間に身を置くことで―――」 【乃璃子】「か、感覚が鋭敏になり……開放的になれる？」 【拓海】「霊と交信しやすい状態にするには最高のシチュエーションなんだ。 いくら俺ががんばっても、君が心を解放してくれないとお祓いは効果ないからね」 はい、よくできました。 口先三寸の世界で生きてきただけのことはあるぞ、俺♪ 【乃璃子】「ううっ……わ、分かったわ……」 そんなもんなのかな、という顔で、乃璃子は恥ずかしそうに言った。